スプレッドシート

その単純作業、卒業しませんか?スプレッドシート業務が劇的に変わる自動化3ステップ

t.inoue

週明け、月曜日の午前中。 淹れたてのコーヒーを片手にPCを開き、あなたはスプレッドシートを立ち上げます。そこに待っているのは、先週分のデータを整理しまとめる、毎週恒例の作業。

担当者名、商品カテゴリ、進捗ステータス…。 一字一句、間違えないように。先週も、その前の週も入力した、全く同じ文字列を、今日もまたキーボードで打ち込んでいく。

ふと、窓の外に目をやると、青い空が広がっている。 その瞬間、あなたの心に小さな声が響きませんか?

「この時間、もっと大切なことに使えたんじゃないだろうか…」

そう感じてしまうのは、あなたが不真面目だからではありません。むしろ、自分の仕事に誇りと責任を持っているからこそ、その退屈な作業に疑問を感じてしまうのです。

もし、そんなあなたの毎週の「ちょっとした憂鬱」を、「最高の快感」に変える方法があるとしたら…?

この記事では、あなたの分身となって働いてくれる「優秀なアシスタント」を、スプレッドシートの中に作り出す方法を3つのステップでご紹介します。専門知識は不要です。さあ、あなたの働き方を今日、この瞬間から変えていきましょう。

STEP1【守りの自動化】入力ミスという名の“雑草”を根絶やしにする

すべての基本は、正確なデータがあってこそ。最初のステップは、今後一切の入力ミスを発生させないための「仕組み」を作ること。

【あなたの現状(Before)】

  • 「A社」「(株)A社」など、人によって入力がバラバラで、後で集計するときに絶望する。
  • 「完了」と入力すべきところを「済」と入れてしまい、フィルタがうまく機能しない。
  • そもそも入力ルールが曖昧で、毎回「これで合ってるかな?」と不安になる。

この入力の「揺らぎ」こそが、あなたの時間を奪う最大の敵。この雑草を根こそぎ刈り取るのが「データの入力規則」です。

【未来のあなた(After)】 手入力という行為そのものをなくし、用意された選択肢から「選ぶだけ」の状態にします。これにより、ミスの可能性はゼロに。あなたはもう、細かい入力ルールを記憶しておく必要も、他人の入力ミスを修正する必要もありません。

【“ミスの芽”を摘む設定方法】

今回の参考では「未着手」「着手中」「完了」の情報を選択できるようにしてみます。

①反映させたいセルを選択しておく

スプレッドシート セルを選択

②スプレッドシートのメニューより「データ」→「データの入力規則」をクリック

スプレッドシート 「データ」メニュー

③サイドバーに「データの入力規則」が表示されるので「+ルールを追加」をクリック

サイドバーにある「+ルールを追加」

④入力する文字列、色、選択できる順番を決めて下部にある「完了」をクリック

プルダウンして表示する内容を入力

こんな感じにしました ↓

データの入力規則 参考

するとこのようにセルを選択するだけで選べるようになります ↓

データの入力規則 イメージ

この「守り」の自動化で、あなたのデータは磐石になりました。さあ、次は「攻め」の自動化で、さらなる快感を味わいましょう。

STEP2【攻めの自動化】ドミノが倒れるような“連鎖”の快感を手に入れる

データが整ったら、次はそのデータを使って「作業の連鎖」を自動で起こしていきます。ここで活躍するのが「IF関数」。スプレッドシートに「もしこうなったら、次はこう動いて」と、簡単な指示を出せるようになります。

【あなたの現状(Before)】

  • ステータスを「完了」にしたら、隣のセルに今日の日付を手で入力する。(そして、たまに忘れる)
  • 担当者が「佐藤」さんだったら、所属部署の「営業1課」を手で入力する。
  • 見積もりの金額が100万円以上だったら、「要承認」のフラグを手で立てる。

これらは全て、判断を伴う作業。だからこそ面倒で、抜け漏れが起こりやすいのです。

【未来のあなた(After)】 あなたが最初のトリガーとなるアクション(例:ステータスを「完了」にする)を起こすだけで、それに続く作業がドミノ倒しのように、自動で、瞬時に実行されます。あなたはただ、最初のドミノを倒すだけ。残りはスプレッドシートが完璧にこなしてくれます。

【“連鎖”を仕掛ける魔法の呪文】 先ほどの入力規則の続きでA列が「完了」が入力されたらB列に「最終確認要」が自動で入力され、それ以外なら空白のままを保持するようにしてみましょう。

①B列の入力したい先頭(今回はB2セル)に以下の内容をコピーして貼り付ける

=IF(A2=”完了”,”最終確認要”,””)

スプレッドシート 関数入力

次にB2セルの右下の「・」をドラッグして反映させたいセルまで広げる ↓

スプレッドシート ドラッグアンドドロップ

そうするとA列を「完了」にすると隣のB列に「最終確認要」と入力される ↓

スプレッドシート 関数結果

たったこれだけで日々の手入力という無駄な作業からワンクリック(ツークリック?)で作業が完了できてしまいます。

あなた
あなた

いや関数は何となく知ってるけど自分で作れないよ・・・

って今までならココで諦めてしまいそうですが、これからは安心してください!

「Gemini」の登場です。

【Geminiの簡単な使い方】

①Geminiを開く

Geminiホーム画面

画面が黒いのは「ダークモード」という表示にしているからなので気にしなくて大丈夫です。

②「Geminiに相談」に以下の文章を入力

プロンプト

スプレッドシートでA2セルが「完了」が入力されたら「最終確認要」と入力、それ以外の場合は空欄になる関数を教えて。

まんま、その通りの内容ですね。決してこの通りに入力しないといけないわけではないのでまずは自分がどうしたいかを素直に指示してみてください。

ちなみにGeminiなどのAIにお願いする内容のことを「プロンプト」と言いますので覚えておきましょう。(プロンプトの入力時、改行は「Shift」+「Enter」

そうすると、Geminiは以下のように回答してくれました ↓

Geminiの回答

Geminiのすごいところは答えだけでなく、この関数の説明や使い方まできちんと教えてくれます。

これでも分からないことがあるなら追加で質問すればさらに教えてくれます。

STEP3【魔法の自動化】スプレッドシートに“魂”を吹き込む

最後のステップは、まさに魔法。あなたが何かをする前に、スプレッドシートが自らの意思で動き出す、究極の自動化です。その鍵を握るのが「Google Apps Script(GAS)」

【あなたの現状(Before)】

  • 毎朝、日報シートを開いて、A1セルに今日の日付と、B1セルに自分の名前を入力する。
  • チームで共有しているプロジェクト管理表の「最終確認日」を、シートを開くたびに手動で更新する。

これらの「必ずやる作業」、なくせたら最高だと思いませんか?

【未来のあなた(After)】 あなたがシートを開いた瞬間、そこには既に入力されるべき情報が完璧にセットされています。まるで、あなたが仕事を始めるのを、シート自身が心待ちにして準備を整えてくれていたかのよう。あなたはもう、日付や名前を入力するという行為そのものを、記憶から消し去ることができます。

あなた
あなた

関数ならまだしもGASは完全にチンプンカンプン・・・

【こんなときもGeminiにお願いしてみる】

安心してください。今回もGeminiにお願いしてみるのが1番です。

今度はさっきの関数を教えてもらったときより複雑なお願いにしてみましょう。

スプレッドシートでA2からA10までに入力されている文字列が以下の内容に一致していた場合にはC列の同じ行に以下の文字列をファイルを開いた時点で自動入力されるGASを作成してください。シート名は「シート1」です。

表記:A列→C列

・未着手→頑張れ!

・着手中→集中!

・完了→お疲れ様!
Gemini プロンプト

入力または上記をコピーしたら右下の紙飛行機のようなマークをクリックするとGeminiが回答を考えてくれますので少し待ちます。

ポイント

ココで大事なのは動作させたいスプレッドシートのシート名も教えておくこと。教えてなくても作成はしてくれますが、あとでGASコード内に自分でシート名を入力してあげる動作が必要になってきます。

Gemini 回答

そしたら先ほどと同様にズラズラと呪文のような文字列が並んでいるスクリプトが完成します。

この枠の右上にあるコピーマークをクリックすると全文をコピーできるのでクリック。

コピーしたらスプレッドシートの拡張機能であるGASに貼り付けます。

GASの開き方、貼り付け方法などについてはこちらの記事を参考にしてください ↓

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GASでスプレッドシート入力爆速化!コピペで始める自動化入門
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こんな感じに入力できたので実行してみます ↓

GAS入力画面

まずはビフォー。 更新ボタンを押してみます ↓

スプレッドシート 更新ボタンを押す

見事、一瞬で入力が完成しました!!

単純作業を一瞬で完了させる方法 まとめ

スプレッドシート イメージ

スプレッドシートはただの入力表にもなりますが、日々の単純作業をいかに簡単に済ませるかを考えただけでもいくつもの方法があります。

条件が決まっているのであれば今回ご紹介した方法を使って少しでも無駄やミスをなくして入力作業ができるようにカスタマイズしてみては如何でしょうか?

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TAKA社長
TAKA社長
Google Workspace見習い
小さな町工場の社長。 日々業務に追われ何とか打開する策として『Google Workspace』を契約。実際にアナログで手間だった作業の問題事例とDX化で改善していく方法を詳しく紹介していきます。
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